中性子散乱は、物質のミクロな構造とダイナミクスを直接的に観測するプローブとして、物性科学の幅広い分野で利用されている。2011年3月の東日本大震災以後、研究用原子炉JRR3の運転は停止しているが、再稼働後の利用再開に備えて、物性研とJAEAでは装置、安全制度の整備を進めてきた。 最近JRR3の新規制基準への適合性の目途がたち、2017年度末に運転再開の見通しであることが示された。そこで、運転再開後に最大限の科学的成果が得られることを目的として、JRR3分光器群が切り開くサイエンスを議論する場としてISSPワークショップを開催する。 ワークショップでは、装置からサイエンスへ、サイエンスから装置への双方向での議論を行う。7年間のJRR3停止期間中に、J-PARC/MLFの本格稼働、日本原子力機構の組織変更、大学における複数の研究室とセンターの体制更新など、中性子科学を取り巻く環境は大きく変化してきた。この状況を鑑み本ワークショップでは、時代の流れに適合したJRR3とJ-PARCの相補利用形態、大学共同利用における分光器の運営方法のあり方、さらには他の量子ビーム(放射光、ミュオン)との関係性についても議論する。