固体中の原子やスピンの集団運動は、系のハミルトニアンで定まる固有状態(振動)の重ね合わせで説明されます。各固有状態は、波数とエネルギーで特徴づけられているので、これら波数-エネルギーの関係(分散関係)を測定できれば、ミクロな系の集団運動を観測したことになります。中性子散乱技術は、とりわけ磁性体において、幅広い波数-エネルギー空間をプローブすることのできる唯一の実験手法です。
簡単な古典スピン系について、分散関係と、実空間での固有運動を図示すると、下のようになります。
1次元強磁性体の場合
左:分散関係 右:スピン波(q=0.05)
2次元強磁性体の場合
左:分散関係 右:スピン波(q=(0.1, 0.1))