10月8日〜12日かけてオーストラリアのANSTOに訪れ、粉末試料の中性子回折実験を行ってきました。今回使用した装置は昨年と同じく高分解能粉末回折計ECHIDNAです。今回は初めて自分で作成した試料での実験で、また初の一人での渡航となり期待よりも不安が多い状態での出発となりました。入国してシドニー空港からレンタカーを借りてANSTOに到着し、装置責任者のMaxさんに会うまではハラハラドキドキでした。Maxさんとは1年ぶりでしたが、前回と同様に親切に対応して頂きました。
実験はとても順調に進みました。今回は正方格子系反強磁性体の磁気構造解析を目的としていたのですが、磁気相転移に伴う磁気反射が明確に観測され良いデータを得ることが出来ました。ただ、実験の条件を決めるためのMaxさんとの議論ではうまく意思疎通が取れないことが多々あり、何度もマックスさんに助けてもらいました。今までどれほど先生方に頼って実験していたかということを実感しました。
実験終了後は少し時間があったのでレンタカーで近くのロイヤル国立公園にドライブに行ってみました。その際、少し運転に疲れたので適当な駐車場に車を停めて仮眠を取って目覚めてみると車のワイパーに見慣れない紙が挟まっていました。手に取ってみるとそこには「compliance
notice」と書いてあります。どうも駐車許可の必要な場所で許可証を持たずに駐車してしまったために罰金の支払いを命じる書類のようでした。まさか、寝ている間に駐車禁止の切符を切られていたなんて…。これも社会勉強と思いしっかり支払いに応じました。
今回一人での海外実験で自分が今までどれだけ周りに頼って実験していたのかを実感しました。試料の準備から現地での実験、実験以外での過ごし方など学ぶことが非常に多い今回の海外実験となりました。また、いろんなトラブルを経験して今回の渡航以前より少し精神的なタフさが増したような気がします。これから一人で中性子実験を行えるだけのスキルを身につけられるよう、より一層研究に邁進していきたいと思います。
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