6月の梅雨空の中アメリカのORNL(Oak Ridge National Laboratory)の中性子実験に向けて日本から出発しました。初めての海外実験、初めての原子炉での実験ということで、緊張と期待でいっぱいのなか出発しました。アメリカの天気は30度を超えるような暑さだったので、夏を先取りするかのような感覚で過ごしました。ガイドホールや炉室はとても寒くてもっと厚着すればよかったと後悔したのもよい思い出です。
実験はHFIR(High Flux Isotope Reactor)を利用した林田さんの実験で、2つ予定されていました。
1つ目はCTAX(Cold Neutron Triple-Axis Spectrometer)と呼ばれる冷中性子を用いた3軸分光器による非弾性散乱実験でした。3軸分光器は教科書で学んではいましたが、散乱の条件が満たされる位置に、装置が目の前で動いているのを見ることで「Q空間のここを測る」という感覚が非常にわきました。
2つ目はFour-Circle Diffractometerと呼ばれる4軸分光器による回折実験でした。4軸分光器の利点は逆格子空間のすべての点に(実際には装置の制限がありますが)アクセスできることです。それは時間との都合上どの点をとるのかが重要になり、結晶の対称性からくる等価な点やドメインのことなどを勉強することができました。
どちらの実験でも1スキャンごとに瞬時に判断を下し、現地のスタッフと相談している先輩方の姿を見ることができたのは刺激的でした。正直、英語での議論についていくことはできませんでしたので、コミュニケーション能力の向上が1つの目標となりました。
また宿舎の近くや施設内で鹿やウサギ、リスといった動物にも頻繁に会いアメリカの大自然というものを実感しました。山、川、湖と自然を満喫できるスポットが数多くありますので、オークリッジにまた行きたいと強く思いました。今度は自分の実験でいけるように日々の研究により力を入れて頑張りたいと思います。
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