8月22日から9月8日までスイスのPaul Scherrer Institute(PSI)にて2つの中性子実験をZEBRAと呼ばれる単結晶回折装置にて行ってきました。海外での中性子実験は今回で2回目ですが、前回と違うのは自分の実験があるということです。相応の準備をして臨みましたが、中性子実験はその場の迅速な対応が求められるため、何が起きるのか不安で仕方がなかったです。
前半の実験は、圧力誘起量子相転移系の磁気構造解析を目的として、林田さんが単結晶の弾性散乱実験を行いました。スイスに発つ直前に圧力セルが壊れてしまい、急遽現地のセルを借りての実験となりました。林田さんもかなりの不安があったと思いますが、現地のスタッフと英語で議論を交わし、サンプルをセルに入れるところから圧力をかけるところまで、てきぱきとこなす姿は圧巻の一言に尽きます。
後半は、電場印加による磁気構造の変化を観測する実験でした。林田さんが実験している間に試料の取り付けや、軸立てを一人で行わなくてはいけないと覚悟を決めていました。実際は多少のトラブルはありましたが、スタッフの方が丁寧に教えてくれたためになんとか準備することが出来ました。実験ではかなり大変な思いもしましたが、興味深いことが観測され、いいデータを取ることが出来たと思います。
今回はいたるところで英語でのコミュニケーションをし、無事に日本に帰ってこられたので、自分も何とかなるものだな。と、思っていましたが、益田先生と林田さんからはひどい英語だった、と言われてしまいました。これからも精進します(T_T)
実験とは関係ありませんがPSIは山奥にひっそりとある研究所で、目の前の丘には牛がいて、すぐ近くに川があり、自然豊かな環境を自分はとても気に入りました。またチーズとパンも大量に食べて大満足のスイスでした。PSIはアップグレードのためしばらく実験できませんが、動き出したらまた行きたいと強く思う場所となりました。
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