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海外実験旅行記report

2023年海外実験旅行記  特任研究員 菊地帆高
(PSI 7/16-7/25 & ORNL 6/4-6/18, 8/2-8/11 & CSNS 12/2-12/8)

 6月に博士学位を取得し7月から特任研究員として働き始めるなど、私にとって2023年は重要な年になりました。私は学生時代には海外で実験をしたことは1回しかありませんでした。ですが、2023年はアメリカのORNLで3回、スイスのPSIで1回実験を行い、非常に大きな刺激を受けました。

 まずORNLですが、さすがアメリカという感じでスケールの大きさを実感しました。技術者も研究者も人が多く、研究者は研究に専念できる良い環境であると感じました。私は普段はJRR-3でユーザー対応をする側なのですが、たまにはユーザー側も良いなと思いました。特に希釈冷凍機を使用する際にはユーザー側が良いと思いました。普段は準備をする側なのですが、冷却の失敗が許されないため神経を使い消耗します。また、ORNLでは試料準備のためアライメントステーションが設置されています。これはJRR-3にはないものですが非常に便利なので、使用していないビーム孔を使用してぜひ設置したいと考えております。私が8月に実験を行った際には、単結晶の軸が全然違うというとんでもないことが起き、アライメントステーションが無ければ絶望でした。中性子実験ではこのようなことが無いように益田研の透過型ラウエ装置を使用してきちんとアライメントを行う必要があります。余談ですが、8月の実験では初めて自分でレンタカーを予約しました。通常は受付でいろいろ手続きがあるのですが、最近はオンラインチェックインができるようになっておりこの手続きを省略することができました。大変便利だと喜んでいたのですが、実験終了前日に予約の際につけていた保険が一切ない状態であることが判明しました。事故が無かったので良かったですが、初めに渡されたレシートをよく見るべきでした。

写真1 筆者(左)とCTAXの装置担当者Travisさん(中央)と東工大の栗田さん(右)

 次にPSIについてです。こちらはETHのAndrey Zheludev教授の研究グループと共同研究する機会を頂き参加しました。ちょうど私が多重型三軸分光器HODACAを建設し終わった頃でした。PSIではCAMEAという別のタイプの多重型三軸分光器が運用されており、両者を比較及び参考にする良い機会でした。PSIの研究者達は「無い物は自分たちで作ってしまおう」という強い考えを持ち、その姿勢に非常に刺激を受けました。この刺激は後に、私がデータリダクションソフトウェアを開発する大きなモチベーションとなりました。余談ですが、行きの飛行機は丸1日遅れアブダビで1泊しました。また、帰りはZurich の空港にかなりギリギリで着き、とても焦りました。というのは、PSIのゲストハウスに宿泊していたのですが、前日に会計手続きを済ませておらず、当日の朝9時に事務所が開いてから行いました。飛行機は11 時に出発で、たまたま特急電車が遅れていたため何とか間に合いましたが、ちゃんと前日に済ませるべきでした。
 
写真2 (左)CAMEAの外観 (右)Andrey Zheludev教授のグループとCAMEAのグループとの食事会

 実験ではなく、AOCNS2023の学会発表のために中国にも行きました。私にとって初めての海外での招待講演で、かなり緊張しましたが、無事に終わってホッとしました。多くの方々と出会えたことは非常に貴重な経験でした。その後、中国のパルス中性子源CSNSを見学しました。新しい施設であり、まだ発展途上ですが、今後に大きな期待が寄せられています。余談ですがAOCNS2023の全参加者で集合写真を撮っていたそうなのですが、気づかずに食事をしていました。帰りに集合写真が渡されて初めて気が付きました。

写真3 AOCNS参加者との日本料理屋での食事会

 この3つの国では本当にいろいろな経験をしました。まず食事は中国が圧倒的においしいかったです。ただ、(1)googleにアクセスできない、(2)街中でクレジットカード(visa)が使用できない、(3)ビザの取得が煩わしい、の3点については非常に困りました。移動はスイスの鉄道とバスが最も便利でした。SBBモバイルというアプリがあり、非常に使いやすいです。買い物をするにはアメリカが一番良いと感じました。今愛用しているリュックはアメリカのTJMAX で購入したものです。あと航空会社はエティハド航空とデルタ航空がお勧めです。


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